KindleもKoboもいいけれど。まずはXperia用Sony Readerアプリを試してみた

ソニーの電子書籍サービス「Reader Store」から、単体ハードウェアとしてのReader、Sony Tablet上のReaderアプリに続いて、Xperia用のアプリがリリースされた。

アプリ動作条件は「Android 2.3以上のXperia」ということで、手持ちのXperia ray(4.0.3ベースカスタムROM “ECRay ver.1.2.1″で運用中)に早速インストールしてみた。
UIはハードウェア版Readerとよく似ていて、モノクロモニタでもそのまま使えそうなぐらい非常にシンプルな作り。
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本棚アイコンをタップすると、Reader Storeに登録したアカウントで購入した本が表示される。表示は二通りあり、またタイトル順や最近読んだ順などに並べ替えられる。rayの狭い画面だとどちらも微妙な所だが……。
読みたい本をタップするとダウンロードが始まり、もう一度タップすると開く。また、ダウンロード済みの本を削除したい時は長押しするとメニューが出るので「削除」を選べば良い。
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ビューア画面はどうか。「ソニー自叙伝」でフォント最大と最小を比べてみるとこんな感じだ。
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フォントサイズは8段階に切り替えられる。Xperia rayの小さな画面で最小サイズはキツいかと思ったが、読んでみたら意外と大丈夫だった。サイズの割に解像度が高いからだろうか。
 
フォントサイズ変更にいちいち+もしくは−をタップして一段階ずつ切り替えなければならないのが面倒だ。フォントサイズを切り替える度に文字データの読み込みが入るため、一段階切り替えるのにもかなり時間が掛かる。せめて、目的のフォントサイズにすぐ切り替えられるようなボタンなどを付けて欲しい。
ちなみに、フォントそのものは変更できなかった。
 
 
ソニータブレット用などでこなれてきたおかげか不安定なところも特にないので、もうすぐ発売になるXperia GXなど、画面が大きくハイスペックなXperiaとの組み合わせならばお勧めできる。ただ、複数機器がないので試せていないが、ブックマークなどの同期も現時点では未実装らしいのがちょっと残念。
 
 
 
さて、ここまではアプリ本体の話だったが、ハードウェア版Readerユーザーとして気になるポイントをチェックしてみた。
 
(1) 任意のDRMなしXMDFなどを読むことができるか?
「ストレージの読み込み」というメニューがあったため、ほのかな期待を込めてmicroSDのあちこちに入れてみたが、認識されなかった。XMDF自体は開けるはずなので、何か工夫すればできそうな気もするのだが……。
 
(2) eBook Transfer(Reader用の母艦アプリ)は使えるか?
ReaderアプリをインストールしたXperiaを繋いでみてもReaderとは認識してくれない。アプリを立ち上げたまま接続してみたらどうか、と試してみると、マスストレージモードになった時点でアプリが落ちてしまうので意味がなかった。
 
(3) 紀伊國屋や楽天で買った書籍は読めるか?
Reader対応を謳う電子書籍サービスとしては
 
紀伊國屋書店BookWeb
 
Raboo: 電子書籍のオンライン書店
がある。
 
どちらのサービスも、購入した書籍をReaderで読むためには「機器認証」が必要となるのだが、認証するにはeBook Transferと接続しなくてはならない。つまり(2)の通りeBook Tranferに認識されないXperiaではどうしようもない。紀伊國屋はAndroidアプリがあるので問題ないが。
今後状況が変わる可能性はあるが、もしかすると、売れれば儲かるハードと違って無料アプリで他社のサービスを使われるとソニーが美味しくない、ということで対応していないのかもしれない。
 
 
 
今までReader Storeで買った書籍がカラーで見られるようになったこと以外メリットはない、というのが現時点での個人的結論だ。
 
ただし、ぼくはSony Tabletを持っていないしXperiaはrayしか持っていないゆえの結論なので、たとえば今後出る予定の汎用Android向けアプリをNexus 7で使ったりすればまた違う感想になるだろう。
 
 
これからKindleや楽天Koboなどの参入もあるし、もっと気合いの入ったアプリ、できればiOS版も作って欲しいところ。
電子書籍はストアの冊数を揃えるのももちろんだが、できるだけいろんなデバイスで読めることにも力を入れて欲しい。
 
 

アイデアは悪くないけど、今のところ物好き専用。「エレコムマーカーシート」 レビュー。

Smafobungu
ついこないだ「通話のできるキーボード」でひどい目に遭ったばかりだというのに、懲りずにエレコム製品に手を出してしまった。

SHOT NOTE(キングジム)、CamiApp(コクヨ)、KYBER(O-RID)などが鎬を削る「紙のメモをデジタイズする」製品に対抗してエレコムが出したのが、「マーカーシート」だ。

仕組みとしては、

マーカーのついたシートを取り込みたい紙に重ねる→専用アプリで撮影
というごくシンプルなもの。
先に紹介した他の製品と違って、専用ノートが要らないという利点がある。つまり専用ノートより安い普通のルーズリーフやノートを使えるどころか、そもそもメモ以外のモノでも取り込めるというわけだ。簡易スキャナのような使い方ができる。
とまあここまでは良いのだが……。
専用アプリの酷評っぷりについては iTunesストアのアプリページ で見ていただくとして、個人的にはもちろん満点にはほど遠いものの、そのうちアップデートで何とかする気があればまあ良いと思う。

問題はむしろシートの方だ。
まず静電気がひどい。小学生がよく髪の毛を逆立てて遊ぶプラスチックの下敷きのようなシロモノで、ぼくの場合は触れると鳥肌が立つレベルだ。湿度の高い6月でこれなのだから、乾燥した季節が来たらどうなることやら(ただし、紙への吸い付きが良くて固定しやすいことも事実)。

また、光源の位置によってはシートに反射してしまって撮影してもうまくいかない場合がある。もちろん光沢液晶のようにピカピカしているわけではなくちゃんとマット加工はしてあるのだが、それでもカメラが露出を迷うぐらいの反射は起きる。

というわけで、アイデアは良いけどブラッシュアップが足りない、ちょっと残念なアイテムという結論。

やっぱり「エレコムの尖った商品」は信用しちゃいけないな……という思いを新たにしました。

ティンと来た一品。iPadケースレビュー"Speck The new iPad fitfolio"

新しいiPadを買ってから1ヶ月も過ぎていないのに、ケース、カバーの類を5つも買ってしまった。

iPadと同時に注文したSmart Case(刻印入り)、PRODUCT(RED)仕様のSmart Coverは見た目的にはなかなかお気に入りだが、Smart Caseはスタンドの角度が好みに合わないし、Smart Coverは(最初から分かっていたことではあるが)背面を保護しないのが気になる。

そこでACaseのハードカバーやELECOMのハードカバー、シリコンカバーなどサードパーティのものも買ってみたのだが、iPad本体が傷つく、指紋汚れが目立ちやすい、ホコリが大量につく、とどれも微妙。

新たに何か良さそうなケースはないかとAmazonをさまよって見つけたのが、今回のSpeck fitfolioだ。SpeckのMacBookカバーなどは使ったことがあったので、まあ大丈夫だろうと思って買って使ってみたところ、予想よりずっと良かった。

fitfolioはハードケースと合皮のカバーが合体した作りになっていて、iPadをぴったり保持しつつカバーがSmart Cover同様に電源オンオフやスタンドの役割を果たすようになっている。

フィット感は上々で、全体を包むケースの割に薄くて軽いので扱いやすい。また、表面の質感にはしっかり保持できそうな安心感があり、実際持ちやすい。
イヤホンジャックやDockコネクタなどの開口部は狭くもないが広くもない。Dockに関して言えば、純正カメラコネクションキットがスムーズに挿せる大きさは確保されている(つまりサードパーティのUSB/SD一体型アダプタみたいなものだと厳しい)。

カバー部分についてだが、新しいiPad用を謳うだけあってマグネット機構は問題なく作動する。ただ、純正カバーより少し遠くてもiPadが反応しているので、多少磁石は強力かもしれない。

スタンドとして使うと、動画観賞用ポジション(カバー内側に設けられた溝を使う立て方)はともかく、キーボード用ポジションでは特に引っ掛ける場所などがないため、うまくバランスがとれる角度を見つけるのに少し手間取った。できてしまえば何の問題もないし、純正カバーより角度が少し高いため個人的にはキーボードを打ちやすく感じたぐらいだ。

気になる点を挙げると、外側カメラを使う時にカバーが邪魔になることだ。スタンドとして使いやすいようカバーがかなり大きく開くため、撮影時にぶらぶらしやすい。純正Smart Coverならそれこそ風呂の蓋のように畳んでしまえばいいのだが、作りが違うのでその手も使えない。
最近はiPhoneよりiPadのカメラの方をよく使うので、これはけっこう困る。何か工夫を考えたいところだ。

もともとこのケースはiPad 2用に既に出ていて、新しいiPadに合わせてリニューアルしたようだ。恐らく厚みが増えたことやカバーのマグネット位置変更に対応したのだろう。

また、iPad 2用ではゴムだったカバーとケースの間の留め具が、スナップでぱちんとはまるプラスチックのパーツに変更されている。レビューなどを読むと耐久性を不安視する声があったので改善したのだと思われる。

個人的に合皮の手触り自体があまり好きではない上に、カメラを使う時にちょっと不便なのが難点ではあるのだが、薄く軽くてスタンドとしても使いやすいことを考えると、当分はfitfolioのお世話になりそうだ。

※ちなみにこの記事はすべてfitfolioを装着したiPadのソフトキーボードで書いた。

iPhone/iPadのBluetoothに関するアレコレ2012年版・後編

とりあえず前回の記事で現状を振り返ったので、今回はA2DP、それもコーデックに絞ったお話。

A2DP (Advanced Audio Distribution Profile) は音楽を聴くためのBluetoothプロファイルで、HSP (Headset Profile) よりも高音質かつステレオな音声をやりとりする規格だ。

ただし、Bluetoothの通信速度が非圧縮音声に対して十分ではなかった頃に作られた規格なので、音声データは圧縮されて送信されるようになっている。iTunesでエンコードした曲をiPodで再生するのと似たようなものだ。

この時の圧縮・展開に使われるコーデックはお馴染みのMP3やAAC、ATRACなどがあり、またメーカー独自のものも実装できるようになっているが、もっとも多く使われているのがSBC (SubBand Codec) だ。

低ビットレートの割にそこそこの音質があること、圧縮と展開に処理能力をさほど必要とせずヘッドホンなどに搭載しやすいことから、ほとんどのA2DP対応機器はまず間違いなくSBCを使っている。

だが、あくまで「低ビットレートの割に」であり、イヤホンを工夫するなどしてある程度は補えるが、やはり有線式に比べると音が痩せて聴こえるのも確かだ。

そんなわけで、クリエイティブやゼンハイザーが採用している高音質が売りのコーデック「apt-X」対応機器を買ってみようと思ったのだが、あまり安くない上に別途apt-X対応の送信機が必要らしい。

それならと、ロジテックから出ているAAC対応のオーディオレシーバ(AACならばiPhone単体で対応できる)を試聴させてもらったが、こちらは音楽を再生していない時のノイズが気になり購入に至らなかった。

やはりapt-Xしかないか……と思っていたら、「今後のApple製品はapt-X対応になる」という2010年の記事を見た。

APT-X Bluetooth is now the new Apple standard. – Digital Smart Homes

これは素晴らしい、と調べてみたのだが、どうにも確証が得られなかった。

まず、Appleがデベロッパ向けに出している”Bluetooth Accessory Design Guidelines for Apple Products”を斜め読みしてみた限り、あくまでコーデックはSBCとAACしか書かれていない。

そもそもアダプタなしで繋がるのなら、その点をクリエイティブやゼンハイザーがアピールしないはずはない。アダプタなど、無いなら無い方が良いに決まっているからだ。

だがクリエイティブの製品情報ページを見ても、iPhone/iPadには別売のapt-X対応アダプタを勧めている。
http://jp.creative.com/products/product.asp?category=437&subcategory=438&prod…

ここから考えるに、apt-X対応という話そのものが怪しい。もしくは対応したとしても、マシンパワーと電力に余裕のあるMacだけなのではないだろうか。

まあ、実際もう少し高音質が欲しいことは確かなので、この話が本当になる、あるいはAAC対応機器がもっと増えることを切に願う。

iPhone/iPadのBluetoothに関するアレコレ2012年版・前編

iOS 3.0のころに(当時はまだiPhone OSという名前だったが)、Bluetoothに関する記事を書いた。

Moba Photo Life!!: iPhone 3.0とBluetoothでできること。
3年も経つと状況はまるっきり変わってしまうのがガジェット業界の恐ろしいところ。

というわけで、改めてまとめ直してみようと思う。

Bluetoothがよく分からないという方のために簡単に説明すると「マウスやキーボード、ヘッドセットなどの周辺機器をPCやスマートフォンに繋ぐ無線通信規格」だ。
802.11nなどのいわゆる無線LANも無線通信規格ではあるが、インターネットなどネットワークへの接続のためのものであり、目的が違う。

Bluetoothにはバージョンがあり、基本的にバージョンが上がるごとに通信速度が上がったり省電力になっていたりする。バージョンとはハードウェア側(チップ)のことらしく、残念ながらOSのバージョンアップとともに進化したりはしない(後述する「プロファイルの追加」はありうるが)。

iPhone 3Gは「ver.2.0+EDR」、3GS/4/iPad/iPad 2は「ver.2.1+EDR」、現行のiPhone 4Sと第3世代iPadは「ver.4.0+HS」を搭載している。ちなみにver.4.0+HSは「ver.3.0+HS」(無線LANの技術を取り込んで高速化)と「ver.4.0」(省電力を追求)の両対応という意味とのこと。

店頭で売っているBluetooth対応機器はだいたい2.0か2.1なので、基本的に3GS以降のiOSデバイスなら接続に困ることはない。ただ、4.0のみ対応というカシオG-SHOCK GB-6900のような機器もあるので、購入する際は対応をよく調べることをお勧めする。

さて、iPhone/iPadでBluetoothを活用する場面といえば、
・ヘッドセットでハンズフリー通話(HFP/HSP)
・ヘッドホンでケーブルに煩わされない音楽鑑賞(A2DP/AVRCP)
・キーボードを繋いで長文入力(HID)
・対戦ゲームの通信プレイ(PAN)
・テザリング(PAN)

あたりだろうか。

他にもファイル交換、カーナビとの連携などもあるが、ぼく自身がやらないのでとりあえず置いておく。

ここで挙げたHSPやA2DPというのが、Bluetoothのもうひとつのキモ「プロファイル」で、これはいわば「通信の手順」だ。

接続する・お互いを認証する・対応する機能を調べるなどの基本的な部分はもちろん、通話の音声やキー入力をやりとりするのにも、通信する機器同士が同じプロファイルを持っていなければならない。人間の言語のようなもので、お互いにやり方を知らなければコミュニケーションが成立しないわけだ。

なお、iOSデバイスが対応するBluetoothプロファイルは、AppleがFAQとして公開している。
iOS:対応している Bluetooth プロファイル

Bluetoothのバージョンと違って、プロファイルはOSのバージョンアップによって追加されたり改善される可能性がある。たとえばiOS 3.0からA2DPが追加され、AVRCPも最初は不完全だったが少しずつブラッシュアップしてきた。4.0からはHIDが追加されてキーボードで文字入力ができるようになった(JIS配列が使えないという難点は未だあるが)。

ver.4.0+HSの採用やプロファイルの拡充ぶりをみても、AppleはBluetoothにかなり力を入れているのは間違いない。
どうせなら、以前出していたApple Bluetooth Headsetをステレオ&高音質化(AAC対応など)して出してくれるなんて展開は望めないものだろうか。

コンプガチャショック後の今あえて、アイマスシンデレラガールズをプレイ……し ようとして挫折した。

特に深い理由はない……たぶん。
もともと箱○版は遊んでた(紳士になる覚悟はなかったので課金はほとんどしていないが)とか、これも今さらだけどiOS版アイマスモバイルiを始めたとか(地元以外まったく移動してない)、最近ちょっとSSを読むのにハマっててアイマスにも手を出したとか、そんな些細な理由なのである。

アイドルマスターシンデレラガールズ
http://info.idolmaster.jp/social/

さて、何が必要かと言えばモバゲーのアカウント。
GREEならゲームサイト化する前から登録していたし「龍が如く」も一時期遊んでいたのでアカウントは持っているのだが、残念なことにモバゲー独占提供。
実はほんの一時モバゲーに登録したことがあるのだが、一種独特の雰囲気(と大量のメール)に気圧されて1日で退会してしまった。

なのでできれば別のアカウント(と新たな捨てアド)で始めたいと思ったのだが、実はいっぺん登録した携帯電話番号は退会しても記録されているとのことで、つまり以前使った携帯番号では登録できず、退会したアカウントの復活ということになるらしい。

つまり、退会と言いつつ単なる休止状態になっているようだ(不正防止のためという理屈。ただ、そもそも退会する方法も分かりにくい上に退会にもなっていないのはコンプガチャよりよっぽどセコいと思うのだが、それは今回の本題ではないのでおいておく)。

諸般の事情(おもに経済的な理由)で携帯電話はiPhoneのみ1回線であり、その番号はもう10年ぐらい使い続けているわけで、もちろんモバゲーへの登録も深く考えずにその番号でやってしまったわけで……。

回線としてはiPhone以外にIIJmio/b-mobile Fair/EMチャージなど持ってはいるが、どれもデータ通信のみで音声通話がない。モバゲーの登録手続きでは、登録した番号に認証コードを伝える自動音声の電話が掛かってくるため音声通話が必須なのだ。

じゃあ050 PlusやFusion IP SMARTやSkypeの050番号はどうなのよ? と調べてみると「モバゲーの登録に使えるのは080か090で始まる番号のみです」ときっちりクギが刺されていた。実にめんどくさい。

とここまで考えて気づいたのは、「ソフトバンクのプリモバイルならイケるんじゃ?」ということ。実際ググってみるとそうしている人もいるようだ。

でも、さすがにモバゲーのためにプリモバイル買うのもアホらしいしなあ。即MNPしてau版iPhone 4Sゲットする錬金術(?)なんてのも興味はあるけど、目的と手段が逆転してしまうのもなんだか意味がない気がする。

とまあそんなわけで、始めるまでも始めてからもいろいろ面倒そうだから諦めることにした。
アイマスモバイルiで地元に引きこもりながらやよいと戯れようと思う。ζ*’ヮ’)ζ<うっうー

外で着けるにはちょっと勇気が要る佇まい。ヘッドホンレビュー「SONY MDR-ZX650」

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ここのところビクタービクターソニービクターオーテク……という感じで、妙に国内メーカーのイヤホンヘッドホンを買ってしまう流れなのだが、今回またソニーのヘッドホンを買ってしまった。 
MDR-ZX650(以下ZX650)、折りたたみ可能かつ反転可能なハウジングと、フラットなケーブルが特徴のポータブル寄りなヘッドホンだ。レッドを購入した。
 
 
MDR-ZX650 | ヘッドホン | ソニー
ソニー、スタイリッシュな密閉ヘッドフォン2機種 -AV Watch

買った理由は珍しく(?)シンプルで、店頭で赤い色に惹かれたから。理由はどうあれいつもの衝動買いだ。
ZX600と迷った末に「こういう時はとりあえず上位モデル買っとけ」と物欲の神様がささやいた気がしたのでこちらを選んだ。ちなみに、買ってからブルーがあることを知った。近所の電器店を何カ所か回ったがどこもレッドしか置いていなかったのは、何か事情があったのだろうか。まあ、両方あってもレッドを選んだだろうが。

まずは外観について。
外でイヤホンでなくヘッドホンを着けることには賛否両論あると思うが、個人的にはこのZX650ぐらいが限界で、これ以上大きいとちょっと注目を浴びすぎるように思う。また、真っ赤なフラットケーブル(幅はおよそ5mm)の存在感がなかなか強く、これをファッションとして組み込むにはかなりセンスが要るだろう。生まれてこの方その手のセンスが絶望的なぼくは、もっぱら自宅用ヘッドホンとして使っている。

ヘッドホンとしての使い勝手について。
確かに折りたためてハウジング反転もできるのだが、そもそも40mmドライバで大きめのハウジングなので、たたんだところでポータブル向きと言えるほどコンパクトではない。もちろん、たためないよりはマシだが。 

ヘッドバンドはクッション材などはついておらず、バンド全体がシリコンで覆われている。感触も悪くなく、ベロアや合皮に比べて汗や汚れを落としやすそうなのが好印象。ぼくは頭が大きい方だが、長さについては問題ない(たまに長さが足りなくて常用を諦めるヘッドホンがあったりするので、意外とこれはポイントが高い)。

 側圧はやや強めで、耳乗せ式なので耳の形状によっては辛いかもしれない。また、メガネにも干渉する。パッドが柔らかいので装着できないということはないが。

インパクトたっぷりの真っ赤なきしめん風(?)フラットケーブル、実は柔らかめで絡みにくく、タッチノイズとも無縁となかなか良い。長さは1.2mで、iPodやウォークマンとの使用を想定したものだろう。どうせならZX700iPのようなiPhoneリモコン付属モデルがあっても良さそうだ。

密閉型なことに加えて柔らかいパッドで密着するため、音漏れの少なさ、遮音性の高さはどちらもそこそこ良い。また、片耳モニタリングができるので、背後を気にしながら動画を見たりゲームをする用途にも対応できるだろう。

さて最後に、いつもレビューの時に困る音質の話。
ひとことで言えば「派手めのドンシャリ」。低域は量多めでタイトさはあまりない。外で使うと周囲の音にかき消されてちょうど良いようにも思う。中高域は耳につくようなことはないが、妙に派手さを感じる。かといってアクが強いわけでもなく、意外と手堅い音に作られているように思った。外見の印象に引っ張られてしまっているかもしれない。

結論。
大きさと見てくれの派手ささえ気にしなければ、外出時に使うヘッドホンとして悪くない選択肢だと思うし、音の傾向も割と好みなので、買ったことは後悔していない。
ただ、5000〜1万円クラスはライバルが多く、人に勧める場合は他を差し置いてもコレ! というほどではないのも事実。
 たとえば、同じソニーのモニターヘッドホン系中級モデルMDR-ZX700。
 
実勢価格がさほど変わらないので、折りたたみが不要でフラット傾向の音を求めるならこちらがお勧めだ。
あるいはKOSS PortaPro(個人的に大好きな機種)、AKG K414/K430/K450、Sennheiser PX100/PX200など、ZX650よりポータブルプレイヤーに向いたタイプのものもこのクラスには多い。

 外見に惚れ込んで買うなら、ありだ。

Ankerの飲食店とな