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とりあえず前回の記事で現状を振り返ったので、今回はA2DP、それもコーデックに絞ったお話。
A2DP (Advanced Audio Distribution Profile) は音楽を聴くためのBluetoothプロファイルで、HSP (Headset Profile) よりも高音質かつステレオな音声をやりとりする規格だ。
ただし、Bluetoothの通信速度が非圧縮音声に対して十分ではなかった頃に作られた規格なので、音声データは圧縮されて送信されるようになっている。iTunesでエンコードした曲をiPodで再生するのと似たようなものだ。
この時の圧縮・展開に使われるコーデックはお馴染みのMP3やAAC、ATRACなどがあり、またメーカー独自のものも実装できるようになっているが、もっとも多く使われているのがSBC (SubBand Codec) だ。
低ビットレートの割にそこそこの音質があること、圧縮と展開に処理能力をさほど必要とせずヘッドホンなどに搭載しやすいことから、ほとんどのA2DP対応機器はまず間違いなくSBCを使っている。
だが、あくまで「低ビットレートの割に」であり、イヤホンを工夫するなどしてある程度は補えるが、やはり有線式に比べると音が痩せて聴こえるのも確かだ。
そんなわけで、クリエイティブやゼンハイザーが採用している高音質が売りのコーデック「apt-X」対応機器を買ってみようと思ったのだが、あまり安くない上に別途apt-X対応の送信機が必要らしい。
それならと、ロジテックから出ているAAC対応のオーディオレシーバ(AACならばiPhone単体で対応できる)を試聴させてもらったが、こちらは音楽を再生していない時のノイズが気になり購入に至らなかった。
やはりapt-Xしかないか……と思っていたら、「今後のApple製品はapt-X対応になる」という2010年の記事を見た。
APT-X Bluetooth is now the new Apple standard. – Digital Smart Homes
これは素晴らしい、と調べてみたのだが、どうにも確証が得られなかった。
まず、Appleがデベロッパ向けに出している”Bluetooth Accessory Design Guidelines for Apple Products”を斜め読みしてみた限り、あくまでコーデックはSBCとAACしか書かれていない。
そもそもアダプタなしで繋がるのなら、その点をクリエイティブやゼンハイザーがアピールしないはずはない。アダプタなど、無いなら無い方が良いに決まっているからだ。
だがクリエイティブの製品情報ページを見ても、iPhone/iPadには別売のapt-X対応アダプタを勧めている。
http://jp.creative.com/products/product.asp?category=437&subcategory=438&prod…
ここから考えるに、apt-X対応という話そのものが怪しい。もしくは対応したとしても、マシンパワーと電力に余裕のあるMacだけなのではないだろうか。
まあ、実際もう少し高音質が欲しいことは確かなので、この話が本当になる、あるいはAAC対応機器がもっと増えることを切に願う。