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WWDC2011基調講演の情報をライブで追いかけたので(最初は隠し撮りUst、次にMacRumorsLive)、いろいろ発表された中から気になる点をまとめてみようと思う。発表直後な上に斜め読みに近いところがあるので、勘違いや間違いがあるかもしれないがご容赦いただきたい。
まずはMac OS X 10.7 “Lion”について。
マルチタッチやフルスクリーンなど、iOSっぽい要素を取り入れるのは噂通りだったし、なかなか面白いと感じた。また、オートセーブやTimeMachineライクなバージョン管理など、「保存」という机と文具のメタファーとしては不自然な部分を可能な限り減らしつつ、コンピュータならではの利点(ワンタッチで以前の状態に戻せる)を活かそうとしている点は便利そうで期待が持てる。いろいろ盛り込んだ割に29.99ドルという安価なのも嬉しい。
ただ、いちばん驚いたのは提供方法。Mac App Storeでのダウンロード販売のみとのこと。つまりMac App Storeが使えるSnow Leopard(10.6.6以降)だけが対象ということらしい。となると、現行MacBook Airの場合、リストアはUSBモジュールでSnow Leopardに戻してからLionにアップグレードすることになるのだろうか。それともUSBモジュールをLionにアップグレードできるようになっているのだろうか。気になるところだ。
次にiOS 5について。
ちなみにリリースは今秋、対象機種はiPhone 3GS/4、iPad/iPad 2、iPod touch 3rd/4thとのこと。iOS4のように低スペック機で制限があるようなことは言っていなかったので、動作速度は同じぐらいと期待して良いのかもしれない。
1.新しい通知機能”Notification Center”
iOS 5ではロック画面や通知にだいぶ手が入れられるらしく、メール/SMS/カレンダーなどの通知が一新されるとのこと。通知機能ではAndroidが便利という声も良く聞くし、脱獄アプリNotified+やIntelliScreenなどのユーザーは気になるのではないだろうか。
2.twitterがOS機能に深く統合
噂になっていた通り、iOS 5ではtwitterがOSの一機能として取り込まれ、カメラ機能のようにアプリから使ったりできるとのこと。twitterクライアントを作っているアプリ開発者はかなり厳しいかもしれない。ひとつ疑問なのは、マルチアカウントがどうなるのかということ。OS側ではアカウント1つのみ対応というなら、専用クライアントの生き残る道は(まあ、それだけでは厳しいだろうが)ありそうだ。
3.MobileSafari
タブ切り替えが速くなった他、Mac/PC版に採用された「リーダー」機能やReading Listなどが追加された。iPhoneにこそ欲しい機能ではあったが、ReadItLaterやInstapaperなどの「あとで読む」アプリがtwitterクライアントと同じくピンチになりそうだ。母艦でChromeやFirefoxを使っているならサードパーティアプリの方が良いだろうが、デフォルトブラウザ(かつ変更不能)なMobileSafariにこの機能を積まれてしまったことはかなりまずい状況だと思われる。個人的にRILもInstapaperも有料版アプリを買ってしまっているので、何とかがんばって欲しいところ。
4.カメラ関連
iOS 5では標準カメラにもだいぶ手が入る。ボリュームボタンでシャッター、ロック画面からカメラを直接起動、ピンチでズーム、AF/AEロック、グリッド表示、赤目補正など。標準カメラということは組み込まれたアプリがすべて同等の機能を持つわけで、最初の2つを実現している脱獄アプリや、標準カメラより高機能なことを売りにするカメラアプリを殺してしまいそうな進化ぶり。フィルター系など独自の機能を持つアプリでなければ生き残れないだろう。開発者には相当厳しいだろうが、50本以上のカメラアプリを購入しているユーザーとしても正直かなり厳しい。
まあその点は諦めるが、シャッター音だけは何とかして欲しい。せめて、スクリーンショットの撮影時に音を出すのだけは止めて欲しい。カメラを使っていないのにあらぬ疑いをかけられる気がして精神衛生上よろしくない。
5.PC FREE&Wi-Fi Sync
ついに「iTunes無しでのアクティベート」「Over The Airによるアップデート」が可能になるとのこと。母艦から独立したひとつのコンピュータとして使える時がやってきたわけだ。もちろん、アドレス帳への入力などは母艦で行って同期した方が楽だとは思うが。個人的には、iPhoneよりも同期の頻度が少ないiPadの方が恩恵が大きいかもしれないと感じる。また逆に、Wi-Fi経由で母艦と同期できるようになる点も、今まで通りの運用より少し自由になる感じがあって嬉しい。特に母艦がiPadを充電できないマシンの場合はありがたいだろう。
6.iMessage
iOS 5ユーザー同士でテキスト、写真、ビデオなどのメッセージがやり取りできる、iChat for iOSといった感じの機能。SMS/MMSがあるiPhoneにはさほど重要でないだろうが、3GでないiPadやiPod touchには便利なのではないだろうか。例えばWi-Fi版iPadを使ってiPhone持ちの人に連絡する時「リアルタイム性の低いEメールか、回線や周囲の状況に左右されるFaceTimeか」という二択になってしまうわけで、このスキマを埋めるにはちょうどいいシステムだと思う。
7.まとめ
他にもNewsStandやRemindersといった便利そうな機能や、ソフトキーボードの位置を動かせるらしいとか、GameCenterやMailも進化したとか、メジャーアップデートに相応しく色々と盛り込んであるようだ。
iOSがアップデートするたびに「脱獄の必要性がどんどん薄れていくなあ」と思うのだが、今回はその印象がいっそう強まった。今もこれからも脱獄のいちばんの理由となりそうなのはSIMアンロックぐらいだろう。
最後に、iCloudについて。
http://www.apple.com/icloud/
MobileMeをリプレイスする無料サービス(これに伴い、既存のアカウントは2012年6月30日まで無料延長された模様)で、写真、ビデオ、iTunesで購入した音楽やアプリや本、iOSデバイスのカメラロール、メール(無料のme.comアドレスが付与される)、カレンダー、コンタクト、アプリ設定などを同期したりバックアップしてくれる。
無料のストレージは5GBだが、iTunesで購入したものについてはカウントされないため、メールなどのユーザーデータですべて使えるようだ。ただ、個人的にはMobileMeに相当量のメールを既に溜め込んでいるため、ここにアプリのデータなども加えるとなるとちょっと容量が足りない予感がする。
全体的に見て度肝を抜くほど派手な何かがあったわけではないし、機能そのものは既存のものも多いが、組み合わせの妙というか、トータルで使いやすそうな(そして楽しくなりそうな)OSとサービスの統合を目指しているという印象を受けた。
iCloudに関してだけは、MobileMe開始時のトラブルに巻き込まれた思い出があるので過剰な期待はしないでおくが、それでも7月のLion、秋のiOS 5と合わせて非常にワクワクする。