スキップしてメイン コンテンツに移動

Microsoft Designerでブログのワンポイント画像を作ってみた。

iPhone失速ネタの続き。

 前回取り上げた記事(フジサンケイビジネスアイ、リンク先はITmedia)に関しては、やはりちょっと偏向しているように思えるので、冷静にまとめてみよう。感じている疑問はおもに三つ。
 正直、愛用しているモノをコケにされた感じであまり気分がよろしくないのだが、こういう時こそ落ち着いて書かなければ。

 まず、iPhoneを携帯電話と捉えるのか、スマートフォンと捉えるのかで売れ行きの予測が違ってくるのは間違いない。100万台を予想したアナリストは、おそらく普通の人が「携帯電話」と言われてイメージするようなそれをもiPhoneがリプレイスする、と考えたのだろう。携帯電話出荷台数は4500~5000万台程度なので、20万台というのは1%にも満たない小さな数字だ。そもそも、国内のスマートフォン年間出荷台数がiPhoneが出るまで100万台もあったか怪しいぐらいだ。そう考えるとスマートフォンと考えればそんなに悪い数字でもない気はするのだが、そのあたりはデータがないので検証はおいておく。
 ともかくフタを開けてみると、前回ぼくが挙げたような理由(日本の携帯ならたいてい備えているような機能がないこと、本体は平易に扱えてもPCとの連携を要求するハードルの高さなど)や、端末代と通信料を含めたトータルコストの絶対的高さもあり、(楽観的アナリストの考えたよりは)売れ行きが鈍かった。そこに関しては、ぼくもiPhoneは万人向けの携帯電話と考えていないので同意できなくもない。

 ただ、ソフトバンクがパケット定額フルを二段階定額制にし、さらにその最低料金を引き下げた理由はあくまで「ドコモへの料金プラン対抗」が大きいはずだ。もちろんiPhoneへの敷居を下げることも含まれているが、メインの理由ではない。なぜならパケット定額フルは、ソフトバンクが出している他のスマートフォンにも適用できるプランだからだ。誤解が多い気がするが、iPhone専用プランではない。
 記事の書き方だとiPhoneのために値下げしたかのように取れる(「兼ねる」という表現で目的が一つではないことを一応書いているが、大きな目的がiPhoneのためという印象を与える)わけで、そのあたりはせめて一言でも触れて欲しかった。

 気になることの二つ目は、少なくとも海外メーカー製のスマートフォンは日本の携帯電話ほど頻繁なモデルチェンジを繰り返さないということだ。ノキアのN95は、日本でX02NKとしてリリースされるまでにおよそ1年掛かっているが、未だに現行モデルとしてSIMロックフリーのN95が日本のノキアから発売されている。iPhoneでも、昨年6月に最初のモデルが出てから、ハードウェア的には3GやGPSを追加して外装を変えただけの、はっきり言ってしまえばマイナーチェンジ版が出るまで1年掛かった。
 使い古された言い方だが、iPhoneはハードウェア的に革新性はあまりなく、その先進性、革新性と言われるものは基本的にソフトウェアが担っている。ソフトウェアアップデートによって最初のiPhoneも、GPSや3G回線に依存しない機能に関しては今のiPhone 3Gと同等になるわけだ。ゆえに、1つのモデルを長く売り続けられるし、ユーザーも長く使い続けることを考えて端末を購入する。あまり良いたとえではないかもしれないが、ニンテンドーDSやWiiのゲームによくある売れ方だ(発売週はそんなに大きな数字を出さないが、ずっと売れ続けて気がつくとミリオンセラー、というタイプ)。

 いっぽう、日本の携帯電話はおおよそ季節に1回、年4回ペースで更新される。最新機種が最新機種たりうるのは3ヶ月から長くても半年程度。キャリア主導で「今年の○モデルはコレです!」と一斉にラインナップを入れ替えてしまうやり方だ。ゆえに、理想的な売れ方はゲームソフトで言うとプレステの人気シリーズタイトルに多い「初動型」(発売日、発売週に累計売り上げの大半を売り尽くす)に近い。
 日本の携帯電話のようにこまめに新しくなるというのは、デジモノ好きで新しもの好きなぼくは(たとえ使っていないキャリアの端末でも)とりあえずワクワクしてしまう。が、こういう売り方をされる日本の携帯電話とiPhoneを同じように考えて、正しい結果を推測できるものだろうか(まあ、iPhoneがこれからジワジワと売れ続けるかどうかという問題があるので、正解は時間だけが教えてくれるわけだが)。

 気になることの最後。記事を読むとiPhoneをダシにBlackBerryの宣伝をしているとも取れるわけだが、iPhoneが売れなかった原因がアナリストの予測通り(おサイフケータイ、ワンセグ、絵文字など日本市場の事情に合わせなかったから)というのであれば、BlackBerryだって大して売れるわけがないのだ。もし売れているのであればiPhoneに関する分析が間違っていることになるし、売れないのであればiPhoneだけに「敗戦」の言葉を当てるのも筋違いというもの。国内スマートフォンで大きなシェアを占めるシャープ製端末にしたって、ウィルコムやイーモバイルにはおサイフケータイはないというのも気になる。

 ともかく、この段階で「iPhone売れない、敗戦処理だ」というのはいささか短絡的というか、わざとやっているのなら悪質なFUDだし、わざとでないのならビジネス紙としては少々思慮に欠け、信用できないメディアだと感じる。

このブログの人気の投稿

最近のパケット事情(または断捨離し損ねた通信契約の話)

こんにちは、モバ( @yubile )です。 かれこれ半年近く更新しなかったわけですが、今日もなんとなく生きています。 IIJmioを解約した のが昨年10月のこと。 その後ZenFone 7を衝動買いした結果、持ち歩くスマートフォンが現在4台です。 内訳はこんな感じになっています。 (1) iPhone XS Max(ソフトバンク:ウルトラギガモンスター+)=メイン (2) Zenfone 7(mineo:au回線 10GB通話付きプラン)=サブ (3) OPPO A5 2020(楽天モバイル)=モバイルルーター的用途 (4) Rakuten mini(DENT)=Edy、nanaco、WAON等 Google Pixel 3aも使っていたのですが、5台はさすがに多いのでしばらくお休みしてもらうことにしました。Android 12がリリースされたら真っ先にアップデートして試そうかなと思います。 ……本来のイメージはiPhoneとRakuten miniの2台持ちぐらいで済ませるつもりだったんですが、どうしてこうなった。 あと、Zenfone 7が楽天モバイルに完全対応してくれてれば、(2)と(3)は統合できたんですよねえ。アップデートお願いします>ASUSさま。 ちなみにRakuten miniに入れているDENTのeSIMは、いわゆる海外ローミング回線です。有効期間が365日と長い上に1GBが4.99ドルという、「とりあえず入れておくSIM」にピッタリのヤツです。ローミング先がドコモ回線なのでRakuten miniのロットに左右されますが、電子決済で通信が必要な場合に役立ちます……と言いたいのですが、問題もあります。いずれ別記事で。

ウォークマンNW-S760(32GB、スヌーピー刻印)レビュー・ハードウェア編

この秋に発表されたソニーのウォークマンは、”最高音質”を謳うAシリーズやAndroid搭載Zシリーズの注目度が高い。 ガジェット好きとしてはやっぱZかなあ、Android版iPod touchみたいな感じで使えるのかなあなどと考えていたのだが、気がついたらSシリーズを買っていた。理由はただひとつ。スヌーピーだからだ。 写真は純正クリアケースを装着後。背面の刻印は3種類(+ソニーストア実店舗限定のものが1つ)から選べる。 スピーカー付属モデルやBluetoothイヤホン( 以前の記事 で書いたMDR-NWBT10N)付属モデルもあるが、今回はウォークマン本体だけを購入。本当はスピーカー付属が欲しかったのだが、32GBの設定がない。今までの経験から言って8GBや16GBではすぐに足りなくなると踏んだため、19800円の32GBモデル(型番NW-S766)を注文した。ちなみに写真の通り、色はゴールド。 昔からスヌーピーものには目がない。「スヌーピーだから」という理由で、以前ラナが出していたiPod nanoのスヌーピー刻印モデルを予約購入した(第1世代、第2世代ともに)ぐらいだ。いくつかのオマケ付きとはいえ、たしか本体の倍近い価格だった。しかも容量が少ないモデルがベースだったため、すぐに使わなくなってしまった。 それに比べれば、今回のウォークマンは刻印と壁紙以外のオマケは無いものの値段が通常モデルと変わらないわけで、えらく良心的に感じる。 ひとつ気になるのは、刻印モデルの販売期間が終わったあとに修理に出すと、刻印が保証されないということ。せっかく3年ワイド保証に入ったのに、迂闊に修理に出せないというのは困ったものだ。まあ、壊れたら壊れたでオブジェとしてとっておく気まんまんなのだが。 そんなわけで、機能性能に惚れ込んで買ったわけではない分ちょっと冷静にレビューしてみよう。 見た目は正直なところ、iPod nano第5世代とよく似ている。クリックホイールでもないしボタン数も違うのだが、でもやっぱり雰囲気は近い。裏を返せばiPodユーザーにも違和感が少ないともいえるか。第5世代nanoより少し厚みがあることと、裏面の金属質感のおかげで取り落としにくそうなのは嬉しい。また、本体にストラップホールがあるのもiPod/iPhoneには無い利点だ。 前世代のS750シリーズと比べると

非自炊的電子書籍生活・BookLive!編「自炊お断り!」な専用端末Lideoを買って みた!

こんばんは、モバ( @yubile )です。 PQIのAir Cardと、 加賀ハイテックのTAXAN MeoBank SD という、目的の被りそうなアイテムを同時に注文しちゃいました。届いたらレビューを書くつもりです。   さて、今日のネタは電子書籍サービス BookLive! の専用端末「Lideo(リディオ)」です。Sony Reader(PRS-650)、楽天Kobo touch、Amazon Kindle Paperwhite 3Gと来て電子ペーパー4台目、電子書籍端末という意味ではSH-07Cもあるので5台目です。iPadとNexus 7とSony Tablet Pだって電子書籍を読むのに使ってます。いやはや。iPad miniを買ってアプリ使い分けた方がよっぽどラクじゃねえの? とか自分に囁きたくなります。 そんなLideoですが、先に結論を言っちゃいますと 「WiMAXで本を買うの意外と快適」「凸版明朝&ゴシックが割と綺麗」「足りないものは解像度とフロントライトとまともな同期機能」「BookLive!&Lideoしか使わないならアリかな」「自炊派の方は選択肢たり得ません」 といったところ。 では行ってみましょう。なお、前述の他サービスや端末との細かい比較についてはInternet Watchの こちらの記事 をどうぞ。 Lideoハードウェアと初期セットアップについて  Lideoは「読書好きだが電子機器やインターネットには疎い」という層に向けて作られた端末だ。 だからボタン類は「本棚」「書店」「メニュー」「戻る」「文字」そして「電源」と、すべてに日本語表記がしてあったり、 “利用を開始するにあたってBookLive!のウェブサービスのアカウントなどは不要で、Lideoの電源投入後に誕生日、性別、パスワードを設定するだけで初期設定が完了する。メールアドレスさえも登録する必要がない” ( “インターネット要らず”の電子書籍端末「BookLive!Reader Lideo」発売 -INTERNET Watch より)のが特長だ。 ぼくの場合はもともとiPadとNexus 7でBookLiveを利用していたので、そのアカウントを入力してアクティベーションした。この場合、BookLiveに登録した他の端末としおりや本棚の同期ができるし(ただし後述するが残念な