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Logicool Pebble Keys 2 K380sの簡易レビュー

iPhone失速ネタの続き。

 前回取り上げた記事(フジサンケイビジネスアイ、リンク先はITmedia)に関しては、やはりちょっと偏向しているように思えるので、冷静にまとめてみよう。感じている疑問はおもに三つ。
 正直、愛用しているモノをコケにされた感じであまり気分がよろしくないのだが、こういう時こそ落ち着いて書かなければ。

 まず、iPhoneを携帯電話と捉えるのか、スマートフォンと捉えるのかで売れ行きの予測が違ってくるのは間違いない。100万台を予想したアナリストは、おそらく普通の人が「携帯電話」と言われてイメージするようなそれをもiPhoneがリプレイスする、と考えたのだろう。携帯電話出荷台数は4500~5000万台程度なので、20万台というのは1%にも満たない小さな数字だ。そもそも、国内のスマートフォン年間出荷台数がiPhoneが出るまで100万台もあったか怪しいぐらいだ。そう考えるとスマートフォンと考えればそんなに悪い数字でもない気はするのだが、そのあたりはデータがないので検証はおいておく。
 ともかくフタを開けてみると、前回ぼくが挙げたような理由(日本の携帯ならたいてい備えているような機能がないこと、本体は平易に扱えてもPCとの連携を要求するハードルの高さなど)や、端末代と通信料を含めたトータルコストの絶対的高さもあり、(楽観的アナリストの考えたよりは)売れ行きが鈍かった。そこに関しては、ぼくもiPhoneは万人向けの携帯電話と考えていないので同意できなくもない。

 ただ、ソフトバンクがパケット定額フルを二段階定額制にし、さらにその最低料金を引き下げた理由はあくまで「ドコモへの料金プラン対抗」が大きいはずだ。もちろんiPhoneへの敷居を下げることも含まれているが、メインの理由ではない。なぜならパケット定額フルは、ソフトバンクが出している他のスマートフォンにも適用できるプランだからだ。誤解が多い気がするが、iPhone専用プランではない。
 記事の書き方だとiPhoneのために値下げしたかのように取れる(「兼ねる」という表現で目的が一つではないことを一応書いているが、大きな目的がiPhoneのためという印象を与える)わけで、そのあたりはせめて一言でも触れて欲しかった。

 気になることの二つ目は、少なくとも海外メーカー製のスマートフォンは日本の携帯電話ほど頻繁なモデルチェンジを繰り返さないということだ。ノキアのN95は、日本でX02NKとしてリリースされるまでにおよそ1年掛かっているが、未だに現行モデルとしてSIMロックフリーのN95が日本のノキアから発売されている。iPhoneでも、昨年6月に最初のモデルが出てから、ハードウェア的には3GやGPSを追加して外装を変えただけの、はっきり言ってしまえばマイナーチェンジ版が出るまで1年掛かった。
 使い古された言い方だが、iPhoneはハードウェア的に革新性はあまりなく、その先進性、革新性と言われるものは基本的にソフトウェアが担っている。ソフトウェアアップデートによって最初のiPhoneも、GPSや3G回線に依存しない機能に関しては今のiPhone 3Gと同等になるわけだ。ゆえに、1つのモデルを長く売り続けられるし、ユーザーも長く使い続けることを考えて端末を購入する。あまり良いたとえではないかもしれないが、ニンテンドーDSやWiiのゲームによくある売れ方だ(発売週はそんなに大きな数字を出さないが、ずっと売れ続けて気がつくとミリオンセラー、というタイプ)。

 いっぽう、日本の携帯電話はおおよそ季節に1回、年4回ペースで更新される。最新機種が最新機種たりうるのは3ヶ月から長くても半年程度。キャリア主導で「今年の○モデルはコレです!」と一斉にラインナップを入れ替えてしまうやり方だ。ゆえに、理想的な売れ方はゲームソフトで言うとプレステの人気シリーズタイトルに多い「初動型」(発売日、発売週に累計売り上げの大半を売り尽くす)に近い。
 日本の携帯電話のようにこまめに新しくなるというのは、デジモノ好きで新しもの好きなぼくは(たとえ使っていないキャリアの端末でも)とりあえずワクワクしてしまう。が、こういう売り方をされる日本の携帯電話とiPhoneを同じように考えて、正しい結果を推測できるものだろうか(まあ、iPhoneがこれからジワジワと売れ続けるかどうかという問題があるので、正解は時間だけが教えてくれるわけだが)。

 気になることの最後。記事を読むとiPhoneをダシにBlackBerryの宣伝をしているとも取れるわけだが、iPhoneが売れなかった原因がアナリストの予測通り(おサイフケータイ、ワンセグ、絵文字など日本市場の事情に合わせなかったから)というのであれば、BlackBerryだって大して売れるわけがないのだ。もし売れているのであればiPhoneに関する分析が間違っていることになるし、売れないのであればiPhoneだけに「敗戦」の言葉を当てるのも筋違いというもの。国内スマートフォンで大きなシェアを占めるシャープ製端末にしたって、ウィルコムやイーモバイルにはおサイフケータイはないというのも気になる。

 ともかく、この段階で「iPhone売れない、敗戦処理だ」というのはいささか短絡的というか、わざとやっているのなら悪質なFUDだし、わざとでないのならビジネス紙としては少々思慮に欠け、信用できないメディアだと感じる。

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